
この記事でわかること
- PHP 8.1のサポート終了が意味することと、PHPのサポート期限の決まり
- 今回の緊急の脆弱性の修正が、8.1以前には出ていないこと
- PHP 8.2も期限が近く、上げるなら8.3以上を目安にする理由
- 上げる前に確かめる順番と、テーマやプラグインの対応のしかた
- 対応できないときに、直す費用と作り直しを比べる考え方
PHP 8.1はサポート終了を迎え、PHPの開発元からセキュリティの修正が出なくなりました。8.1以前で動いているサイトは、テーマとプラグインを新しいPHPに対応させたうえで、PHP 8.3以上へ上げるのが基本の道です。今回のPHPの緊急の脆弱性の修正版も、8.2以上の系列にだけ出ています。この記事では、サポート終了の意味、8.2の期限、上げる前に確かめる順番、上げられないときに作り直しと比べる考え方を、順に説明します。
PHP 8.1のサポート終了とは、セキュリティの修正が出なくなること
PHPは、新しい系列(8.1、8.2 など)が出てから2年間は不具合とセキュリティの両方の修正が出て、その後の2年間は重大なセキュリティの問題の修正だけが出る、という決まりで管理されています。4年が過ぎるとその系列はサポート終了(End of Life)となり、修正は出なくなります。PHP公式は、サポートが終わった版を使っている人に、直されていない脆弱性にさらされるおそれがあるので、できるだけ早く上げるよう呼びかけています(出典: PHP公式「Supported Versions」)。
PHP 8.1 のサポートは2025年12月31日に終わり、最後の版は 8.1.34 です(出典: PHP公式「Unsupported Branches」)。サポートが終わっても、サイトがすぐに表示されなくなるわけではありません。困るのは、あとから弱点が見つかっても、公式の修正が出ないことです。
PHPのサポート期限の一覧(サポートが終わった系列)
| 系列 | サポートの終了 | 最後の版 |
|---|---|---|
| PHP 8.1 | 2025年12月31日 | 8.1.34 |
| PHP 8.0 | 2023年11月26日 | 8.0.30 |
| PHP 7.4 | 2022年11月28日 | 7.4.33 |
サイトがどの系列で動いているかは、WordPress なら管理画面の「ツール」の「サイトヘルス」の「情報」の「サーバー」で確かめられます。確かめ方の詳しい手順はPHPの脆弱性にWordPressで対応する手順で説明しています。
古いPHPのままが危険な理由。今回の脆弱性の修正は8.1以前に出ていない
サポート終了の影響がはっきり表れたのが、2026年10月に修正版が出たPHPの「緊急」レベルの脆弱性です。PHPの開発元は PHP 8.5.12、8.4.27、8.3.36、8.2.35 を公開し、すべての利用者にすぐ更新するよう強く勧めました(出典: PHP公式「News Archive - 2026」)。報道では、2件とも、ログインしていない第三者が外からサーバーの上でプログラムを動かせてしまうおそれがあるとされています(出典: ITmedia NEWS「高市総理「大至急、PHPパッチ適用を」Xで異例の要請」)。

このとき、PHP 8.1以前は公式の更新の対象外とされ、提供元に修正があるかを確かめるか、サポート中のバージョンへ移るよう呼びかけられました(出典: ITmedia NEWS「PHPの「緊急」レベルの脆弱性、開発元が修正バージョン公開」)。PHP 7.4、8.0、8.1 向けに最小限の修正を施したソースコードも公開されましたが、これはPHPを自分で組み立てて動かしている管理者向けのものです。レンタルサーバーで、管理画面からバージョンを選んでいるサイトには、8.2以上への切り替えが現実的な道です。
首相も「大至急のお願いです」と呼びかけた
高市早苗首相は自身のXで、この脆弱性について修正プログラムを速やかに適用できるよう準備することを呼びかけ、投稿には「大至急のお願いです」という言葉がありました(出典: TBS NEWS DIG「高市総理「大至急のお願いです」PHPの脆弱性に関する注意喚起受け 修正プログラム適用など対応呼びかけ」)。IPA(情報処理推進機構)も、修正版の公開に先立つ注意喚起の中で、サポートが終わった古いPHPを使い続けているサイトやサービスが見受けられると書いています(出典: IPA「【事前準備のお願い】PHPのセキュリティリリース公開予定について」)。
怖がるより、順番に確かめる
古いPHPで動いているからといって、すぐに被害が出るとは限りません。ただ、修正が出ない状態は、弱点が見つかるたびに打つ手がない状態です。まずは使っているバージョンを確かめ、この記事の順番で上げる準備を進めてください。
PHP 8.2のサポート期限も近い。上げるなら8.3以上が目安
PHP 8.2 は、今回の脆弱性の修正版(8.2.35)が出ている系列です。ただ、PHP公式の一覧では、8.2 のセキュリティのサポートは2026年12月31日に終わる予定です。8.1以前から 8.2 へ上げても、そう遠くないうちにもう一度切り替えが必要になります。
| 系列 | セキュリティのサポートの終了 | 上げる先としての見方 |
|---|---|---|
| PHP 8.2 | 2026年12月31日 | 期限が近い。上げる先にはしにくい |
| PHP 8.3 | 2027年12月31日 | WordPress の推奨。テーマやプラグインの対応も進んでいる |
| PHP 8.4 | 2028年12月31日 | 使うテーマやプラグインが対応していれば候補 |
| PHP 8.5 | 2029年12月31日 | いちばん新しい系列。対応しているかを特に確かめる |
WordPress の公式サイトでは、PHP 8.3以上が勧められています。PHP 7.4以上でも動きはするものの、サポートが終わったバージョンではサイトがセキュリティ上の弱点にさらされるおそれがある、と説明されています(出典: WordPress.org「Requirements」)。どの系列まで上げられるかは、使っているテーマとプラグインの対応と、サーバーで選べるバージョンで決まります。
新しすぎる系列を選ぶときの注意
期限だけを見れば、新しい系列ほど長く使えます。ただ、出たばかりの系列には、テーマやプラグインの対応が追いついていないことがあります。期限の長さと、使っている部品の対応の両方を見て、無理なく動く系列を選んでください。
PHPのバージョンアップの必要性。安全のほかにも理由がある
PHPを上げる必要性は、セキュリティの修正を受けられるようにすることがいちばんです。そのうえで、古いPHPのままにしておくと、ほかにも困りごとが少しずつ増えていきます。
- WordPress本体やプラグインの新しい版が、古いPHPでは動かなくなり、更新できなくなる
- 更新できないプラグインが増えるほど、PHPを上げるときに一度に直す量が増える
- サイトヘルスに、PHPの更新を求める項目が出続ける
- 新しい機能のプラグインを入れたくても、PHPの条件を満たせない
WordPress の公式の案内では、新しいPHPは速く動くように作られており、表示の速さに良い影響が出ることがあるとされています(出典: WordPress.org「Get the latest PHP version」)。ただし、表示の速さは画像の重さやプラグインの数などにも左右されるので、PHPを上げただけで速くなるとは限りません。上げる理由の中心は、あくまで安全と、更新を続けられる状態を保つことです。
上げにくいサイトほど、早めに手を付ける
更新を何年も止めているサイトは、PHPを上げるときにテーマもプラグインも一度に替える必要が出てきます。期限が来てから慌てるより、作業の量を見積もる時間があるうちに確かめ始める方が、選べる道が増えます。
PHP 8.1のサイトを上げる前に確かめる順番
8.1以前のサイトをいきなり新しいPHPに切り替えると、画面が真っ白になったり、「重大なエラーが発生しました」と出たりすることがあります。上げる前に、次の順番で確かめておきます。
- 使っているPHPのバージョンサイトヘルスかサーバーの管理画面で確かめて書き留める
- サーバーで選べるバージョン8.3以上を選べるか、サーバーの管理画面のPHP設定で見る
- WordPress本体の版本体を新しい版にできるか確かめる
- テーマ名前、配布元、最終更新の時期、有料ならライセンスの期限
- プラグイン一つずつ、最終更新の時期と必要なPHPのバージョン
- 書き足したコードとバックアップ自作の部分の有無と、戻せるバックアップがあるか
上から順に確かめると、上げられるか、何を替える必要があるかの見当がつきます。
| 確かめた結果 | 見込み | 進む道 |
|---|---|---|
| テーマもプラグインも更新が続いている | 新しい版にすれば上げられることが多い | 選択肢1(対応版にしてから8.3以上へ) |
| 一部のプラグインの更新が止まっている | 置き換えれば上げられる | 選択肢1。止まっているものは別のものに置き換える |
| テーマの販売や更新が止まっている、書き足したコードが多い | 直す量が多い | 選択肢2(直す費用と作り直しを比べる) |
テーマやプラグインが新しいPHPで動くかの見分け方は、PHPを更新して真っ白になったときの復旧手順の「PHP 8に対応したプラグインとテーマに替える」で説明しています。
選択肢1: テーマとプラグインを対応版にしてから8.3以上へ上げる
テーマとプラグインの更新が続いているサイトなら、部品を先に新しくしてから、PHPを上げる順番で進めます。PHPを先に上げると、古い部品が動かずに止まることがあるためです。

- ファイルとデータベースのバックアップを取り、パソコンなど別の場所にも保存する
- 使っていないテーマとプラグインを止めて削除する
- WordPress本体、テーマ、プラグインを新しい版にして、表示とフォームを確かめる
- 更新が止まっているプラグインは、同じ機能の、更新が続いている別のものに置き換える
- 検証用の環境(ステージング)を作れるなら、そこで先に PHP 8.3以上に切り替えて確かめる
- アクセスの少ない時間帯に、本番のPHPを切り替える
- トップ、主なページ、フォームの送信、管理画面のログインと投稿を確かめる
7.4から8.3のように離れたバージョンへ上げるときは、間のバージョンで一度表示を確かめると、どこで不具合が出たのかを切り分けやすくなります。間のバージョンも8.1以前ならサポートが終わっているので、確かめるだけにとどめます。切り替えの手順の細かい注意はPHPの脆弱性にWordPressで対応する手順に、切り替えて真っ白になったときの戻し方はPHPを更新して真っ白になったときの復旧手順に、「重大なエラーが発生しました」と出たときの直し方はWordPressの「重大なエラーが発生しました」の直し方にまとめています。
選択肢2: 対応できないなら、直す費用と作り直しを比べる
テーマの販売や更新が止まっている、書き足したコードが多い、といったサイトでは、PHPを上げるために直す量が多くなります。その場合は、使っているサイトを直す道と、作り直す道を、同じ目線で比べます。
使っているサイトを直す
- 見た目や中身をそのまま残せる
- 直す量が少なければ、早く安く済むことがある
- 古いテーマのままなら、次のPHPの切り替えでまた同じ作業が要る
作り直す
- 更新が続くテーマや仕組みに替えられる
- スマホ対応や古い情報もまとめて見直せる
- 原稿や写真の準備と、公開までの時間が要る
直す量が多く、ほかにも古い部分があるなら、作り直しの見積もりも取って比べます。
作り直しも考えた方がよいサイト
- テーマの販売元がなくなっている、または長く更新されていない
- 作った会社と連絡が取れず、書き足したコードの中身が分からない
- スマホで見づらい、SSLの設定がない、情報が古いなど、PHPのほかにも直したいところが多い
- 直す見積もりと作り直す見積もりが、大きく変わらない
古くなったホームページで見直す点はホームページが古いと感じたときの直し方に、作り直す場合の費用の考え方はホームページのリニューアル費用にまとめています。作った会社と連絡が取れない場合の進め方はホームページの制作会社と連絡が取れないときで説明しています。
PHP 8.1のサポート終了に、自分で対応するか任せるかの目安
最後に、ここまでの流れを短くまとめます。
- サイトのPHPのバージョンを確かめ、8.1以前かどうかを見る
- サーバーで 8.3以上を選べるかを確かめる
- テーマとプラグインの更新が続いているかを一つずつ見る
- 続いていれば、部品を新しくしてから 8.3以上へ上げる
- 続いていなければ、直す費用と作り直しを比べて決める
次のような場合は、自分で進めるより人に任せた方が、サイトを止めずに済みやすくなります。
- サーバーや WordPress の管理画面に入れない
- テーマやプラグインに手が入っていて、どこが動かなくなるか見当がつかない
- 検証用の環境を作れず、本番で試すのが不安
- 直すか作り直すかを、見積もりを見て決めたい
日ごろの更新と保守のどこまでを自分でやるかはホームページの更新と保守の方法で説明しています。上げたあとも、WordPress本体とプラグインの更新は続きます。続けて任せる場合のお金の考え方はホームページの維持費にまとめています。
PHPを上げる作業を、確認から切り替え、不具合の対応までまとめて任せたい場合はPHPの更新と復旧の代行を見てください。uparia では、作業の前にバックアップを取り、検証用の環境で確かめてから本番に反映します。サイトの作りによって作業の量が変わるため、料金はお見積りです。作り直した方が合うと考えられる場合は、そのようにお伝えします。
よくある質問
PHP 8.1のサポートが終わると、サイトは表示されなくなりますか?
サポートが終わっても、サイトがすぐに表示されなくなるわけではありません。困るのは、新しい弱点が見つかっても公式の修正が出ないことです。サーバー会社が古いバージョンの提供をやめた場合には、切り替えが必要になることもあるので、届いたお知らせも確かめてください。
PHP 7.4のサイトでも、8.3以上へ上げられますか?
テーマとプラグインが新しいPHPに対応していれば、上げられることが多くあります。離れたバージョンへ上げるほど替える部品が増えるので、先に部品を新しくし、検証用の環境で確かめてから切り替えてください。対応できない部品が多い場合は、作り直しと比べて決めます。
PHPを上げると、サイトの見た目が変わりますか?
テーマとプラグインが新しいPHPに対応していれば、見た目はふつう変わりません。ただ、上げる準備としてテーマやプラグインを新しい版にしたときに、見た目が少し変わることはあります。部品を更新した段階で一度表示を確かめておくと、原因を切り分けやすくなります。
WordPress以外で作ったサイトも、PHP 8.1のサポート終了の影響を受けますか?
サーバーの上でPHPを使って動くサイトなら、WordPress以外でも同じです。ネットショップの仕組みや、自作のお問い合わせフォームなどがPHPで動いていることもあります。作成サービスで作ったサイトは、サーバーの管理を運営会社が受け持つので、運営会社のお知らせを確かめてください。
サーバー会社が古いPHPでも修正していると書いていれば、上げなくてよいですか?
提供元が独自に修正を当てている場合もありますが、どこまで、いつまで対応するかは会社ごとに違います。WordPress やプラグインの側が古いPHPに対応しなくなっていくこともあるため、上げる準備は進めておく方が安心です。






